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  • 執筆者の写真Miwa Shioya 塩谷美和's Blog

名もなき生涯〜Hidden Life

映画「名もなき生涯」の試写会に行ってきました!



第2時世界大戦中のナチス占領下オーストリアでの実話。

聖書を思い起こさせる場面がいくつも隠されていて、美しい大自然をバックに人の罪性、生きる事とは、信仰とは、正義とは、深く問われる作品でした。


この映画は20世紀のナチス・ドイツによるユダヤ人迫害ですが、実はユダヤ人迫害は近年に始まった事ではなく、紀元前6世紀に祖国を追われバビロン捕囚になってからずっと続いていることで、ナチス・ドイツで頂点に達しました。ユダヤ人迫害の理由の一つとして、ユダヤ人はキリストを殺したからと言う理由があります。他にもありますが、だからと言って迫害や戦争に繋がってしまうというのは明らかにおかしい。子供でも分かる事なのになぁ。


映画の内容が進むにつれ、数年前にマーチン・スコセッシが監督した遠藤周作「沈黙」とよく似ているなーと思いつつ観ていましたが、映画の後に町山智浩さんがトークショーでその辺のつながりも話してくれました。興味深かったのは、人の信念を崩すために、悪魔は分かりやすくは攻撃しない。むしろ、小さな妥協をするように誘惑し、じわじわと信仰を捨てさせる、と言ったところでした。小さな妥協=小さなパン種の例えを思い出します。


監督のテレンス・マリックは「ツリー・オブ・ライフ」の監督です。制作会社は注目のPLAN Bです。彼はアッシリア人の祖先らしく(町山さん曰く)地質学者である厳格な父親に育てられ、弟は自殺。父を憎み続けトラウマを抱えていたが、イエスを信じて救われました。人生で体験した苦悩は彼の作った様々な映画のシーンで見る事ができるようです。作品に自分の苦しみを込めて解き放ち、怒りと憎しみを手放していったのでしょうか。


つくづく今の私達は平和な時代、平和な国に生きていると実感。

ヒトラーは有名人。しかし犠牲になった彼は誰にも知られずに、静かにその他大勢として死んでいきました。でも、彼は天国ではヒーローとして今でも生き続けているでしょう。


またもや「もし自分だったら、、、」

そう深く考えずにはいられない、そんな映画でした。


来年2月21日公開です。

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